Gynecomastia
女性化乳房とは?

女性化乳房は、ホルモンバランスの変化や脂肪の蓄積など、さまざまな原因で男性の胸部が女性のように膨らんで見える状態を指します。
見た目だけでなく精神的なストレスにもつながるため、正しい知識と治療法の理解が重要です。
この記事では、女性化乳房の主な原因やタイプ別の治療法、ダウンタイムの目安まで、アリエル美容クリニックの加藤ドクターがわかりやすく解説します。
Doctor
ドクター実績
アリエル美容クリニック横浜院 脂肪吸引部門|技術指導医
加藤 敏次 医師
VASER・PAL・4D Sculpt・CRF・TOTAL DEFINERなど、5つの技術認定を持つ形成外科専門医。 吸引から注入まで、美しく仕上げることに徹底的にこだわります。 大手美容外科での技術指導経験を活かし、脂肪吸引・注入の両面で専門性を発揮しています。
経歴
- 昭和大学医学部卒業
- 昭和大学救急医学科入局
- 昭和大学形成外科入局
- 大学医局より市中病院 形成外科へ出向
- 湘南東部総合病院 形成外科 診療科長就任
- 某美容外科 地方院院長 就任
- THE CLINIC 東京院副院長 就任
- THE CLINIC 横浜院院長 就任
- THE CLINIC 東京院医局長 就任
- アリエル美容クリニック脂肪吸引・豊胸技術指導医
所属学会・資格・賞状
- 日本形成外科学会専門医/日本頭蓋顎顔面外科学会 会員/日本美容外科学会会員
- VASER Lipo認定医
- VASER 4D Sculpt(ベイザー4D彫刻)認定医
- コンデンスリッチファット(CRF)認定施術医
- TOTAL DEFINER by Alfredo Hoyos 認定医
- 米microaire社認定PAL指導医

女性化乳房に悩む方は意外と多く、プールや海に行ってもTシャツを着たままの方、温泉などで上半身を見せたくないと考える方などもいらっしゃいます。
女性化乳房はどんな治療をするのか、原因は何なのか、どのクリニックに行けばいいのかなど、わかりやすく解説します。
女性化乳房とは
女性化乳房とは、男性の胸が女性の胸のように膨らんでしまう状態です。女性化乳房は、アメリカの形成外科学会で4つのグレードが発表されています。
- グレード1: 乳輪を超えない程度のふくらみ
- グレード2: 乳輪よりも大きいふくらみ
- グレード3: 胸の下のライン(乳房下降線)より少し下がってきている
- グレード4: 乳輪がそのラインよりも下に落ちている状態

グレードに関わらず、女性化乳房に悩む方は多くいらっしゃいます。
「自分だけなのでは」と悩まずに、早めにクリニックに相談することが大切です。
女性化乳房の主な原因
女性化乳房とは、男性の胸が女性の胸のように膨らんでしまう状態です。女性化乳房は、アメリカの形成外科学会で4つのグレードが発表されています。
思春期、高齢期などのホルモンバランスの変化
男性ホルモンであるテストステロンが低下し、女性ホルモンのエストロゲンが相対的に増加すると、乳腺が刺激されて大きくなり女性化乳房の原因となります。
思春期の若者や60代以上の高齢者では一時的なホルモンの変化があり、この症状が出る場合もあります。つまり、テストステロンとエストロゲンのバランスが変わると胸にも変化が表れるということです。
肥満
急激に体重が増えると、女性化乳房になるケースがあります。脂肪の蓄積によって胸に脂肪がついて見た目が変わり、女性化乳房と診断されるケースです。
加えて、アルコールやマリファナの使用によって胸がふくれる場合があります。アルコールとともにカロリーの高い食事をとっている方や、マリファナは乳腺に直接刺激を与えてしまい、胸が大きくなることにつながります。
薬の副作用
以下のような薬は、副作用として女性化乳房になる可能性が指摘されています。
- スピロノラクトン(利尿薬)
- ニフェイジピン、アムロジピン、ファモチジン(血管を拡張させる高血圧の治療薬)
- H2ブロッカー(胃潰瘍や逆流性食道炎の治療薬)
薬が原因の女性化乳房の場合は、主治医と話をして薬を変えてもらい、経過を観察します。
内因性の疾患(内臓・内分泌系など)
肝臓疾患・腎臓疾患・甲状腺疾患の場合も、女性化乳房になるケースがあります。
これらの疾患はホルモンバランスの変化が起こりやすいため、通常の人よりも女性ホルモンが多く体内に存在してしまい、胸のふくらみにつながってしまうと考えられています。

女性化乳房は「特にこの年代に多い」というお悩みではありません。海外の論文ではグレード4まで含めて2割から3割の方が女性化乳房だと言われています。
生活習慣の変化や疾患などによって起こる場合も多く、様々な年代の方が胸のふくらみを相談しに来院されています。
女性化乳房の3つのタイプ
それぞれの原因と特徴についてまとめる
真性女性化乳房
真性女性化乳房とは、乳腺の発達によって胸がふくらんでいるものを指します。人によっては胸の痛みを訴えたり、触ったときにコリコリと触れるしこりが発生する場合もあります。
偽性女性化乳房
偽性女性化乳房とは、乳腺ではなく脂肪によって胸がふくらんでいる状態です。体重の増加など、皮下脂肪の蓄積によって胸が目立ってしまう症状です。
混合性女性化乳房
混合性女性化乳房とは、真性と偽性が組み合わさったもので、乳腺の発達と脂肪によるふくらみの両方が表れている状態を指します。

診察ではまず触診を行い、乳輪の下にコリコリする乳腺が触れるかどうかを確認します。
その後、超音波で乳腺と皮下脂肪の厚さを確認し、乳腺があれば真性、乳腺がなければ偽性、乳腺と皮下脂肪の両方があった場合は混合性と診断します。ご自身がどのタイプか分からない場合も、アリエル美容クリニック横浜院にお気軽にご相談ください。
タイプ別の女性化乳房の治療法とは
女性化乳房のタイプによって、治療法はそれぞれ異なります。
- 真性の場合:乳腺を切除する
- 偽性の場合:脂肪吸引をする
- 混合性の場合:乳腺の切除と脂肪吸引を行う

解説します
真性女性化乳房の治療法
真性女性化乳房の原因は乳腺が発達することですが、思春期や高齢期の一時的なホルモンバランスの乱れによるものでは、様子を見る場合がほとんどです。しばらく経つと元に戻り、手術をせずに済む方もいます。
また内服薬の影響によるものでは、薬を処方している主治医に相談して薬を変えてもらい、経過を見ることもあります。
経過観察しても女性化乳房が治らない場合は、手術で乳腺を取り出します。なお、男性は乳腺をすべて取ってしまっても問題はありません。
乳輪の部分を切って乳腺を切除しますが、半年ほどで傷はほとんど目立たなくなります。
乳腺切除の場合は保険診療の適用となりますので、詳しくはアリエル美容クリニック横浜院へお気軽にご相談ください。
偽性女性化乳房の治療法
偽性女性化乳房の場合は、脂肪吸引を行います。脇のシワの中、もしくは乳頭のふもと部分を7ミリほど切って脂肪吸引をするため、小さな手術痕だけで済みます。
ただし、偽性の場合は肥満が大きな原因ですので、運動や食事制限といったダイエットをして改善する場合も多くあります。
術後、大幅に体重が増えてしまった場合は女性化乳房が再発するリスクもありますので注意しましょう。
混合性女性化乳房の治療法
混合性女性化乳房の治療では、脂肪吸引と乳腺切除の両方を行います。
まずは脂肪吸引をする際に乳輪部分を切り、吸引が終わったら切開部分を延長して乳腺を取り出す手術を行います。
全体のバランスを見て脂肪吸引の量を調整しますが、術後の経過を見てまだ胸のふくらみが残っている場合は、脂肪吸引を追加で行うこともあります。

女性化乳房では、乳腺があるかないかの診断がとても大切です。真性や混合性で乳腺があるのに、脂肪吸引の手術だけで済ませてしまうと乳腺が残って根本解決にはなりません。
必要のない施術を受けないためにも、超音波を使った診断をしてくれるクリニックを選ぶと安心です。
ダウンタイム、術後の過ごし方の注意点
女性化乳房の治療について、多くの方が気になる傷跡の大きさやダウンタイムの過ごし方、日常生活に戻るまでの期間などについてまとめます。
女性化乳房の手術のダウンタイムはどれくらい?
ダウンタイムはおよそ2週間です。
経過としては内出血と痛みがほとんどで、痛みはおよそ2週間で収まります。
その後、数カ月間にわたって手術でできた傷跡付近に突っ張り感が出ることがありますが、これも患部を動かすことで自然になくなっていきます。
乳腺を切除した場合は、止血をしても体を動かしたときに出血する可能性があります。
乳腺の大きさにもよりますが、術後はドレーンというストロー状の器具を使い、2日ほど体内に血液が溜まらない処置をします。
加えて、圧迫による止血を行います。
圧迫はスポンジ・包帯・バストバンドを使い、脂肪吸引の場合で3日ほど、乳腺切除の場合は5日から1週間ほどです。
脂肪吸引のみの方は、ドレーンは使わず圧迫のみの処置となります。
傷跡はどれくらい残る?
乳腺を摘出する場合は、乳輪の半分ほど切るためにその傷跡が残ります。
しかし半年ほどで薄く白い線になり、よく見なければわからないため、プールや温泉に行っても目立つことはありません。
脂肪吸引の場合は、脇の下のシワの中、もしくは乳頭のふもと部分を7ミリほど切って行います。
脇はシワと一緒になって傷がわかりにくくなります。
乳頭も粘膜のため傷はきれいに治りますので、安心してください。
翌日に仕事に行ってもいい?
基本的にはできます。デスクワークであれば全く問題ないでしょう。
しかし、体を動かす仕事は傷が開いてしまうリスクがあり、難しいかもしれません。
内出血が10日から2週間、痛みも2週間ほど続くため、術後しばらくは無理をしないことが重要です。
運動や入浴はいつからできる?
術後10日目ほど経てば、強度が弱めのものから運動を再開してかまいません。
ただし、大胸筋を使うような筋トレは1ヶ月ほど休んだ方が無難です。
患部に負担がかかるのを防ぐため、少しずつ強度を上げるようにしましょう。
患部の突っ張り感が出てくる時期がありますが、リハビリとしてどんどん体を動かすことで改善していきます。
湯船につかる入浴は、傷が完全にふさいでから行いましょう。
ドレーンが入っている場合は、ドレーンが取れてからシャワーが可能です。
ドレーンが入っていなければ手術の翌日からシャワーを浴びて大丈夫です。
よくある質問

女性化乳房でよく寄せられる質問をまとめました。手術を検討している方、女性化乳房に悩んでいる方はぜひご覧ください。

どんな人が女性化乳房の手術を受けるべきですか?

胸が膨らんでいてもまったく気にならない方は受ける必要はありません。
ふくらみがすごく気になる方、プールや温泉で上半身を見せるのに抵抗がある方などが当院へ相談にいらっしゃいます。

片方だけ膨らんでいる場合も手術はできますか?

できます。アリエル美容クリニック横浜院では、真性・偽性・混合性のタイプに合わせ、左右対象の胸にするための適切な診断と施術を行います。

自分自身がどのタイプか分からない場合、どうすればいいですか?

ふくらみを感じること自体は、女性化乳房と考えてもいいと思います。
乳輪の下にコリコリするものが触れる場合は、乳腺がある可能性があります。超音波で見ればすぐに診断できますので、まずはお気軽にご相談ください。触診と超音波によって、乳腺があれば真性、皮下脂肪の厚さがあった場合は偽性、乳腺と皮下脂肪の両方があった場合は混合性と診断します。

術前に保険適用となる検査はありますか?

真性女性化乳房で、乳腺だけが原因のタイプは保険によってまかなうことができます。
ただ、過去に保険適用で手術を受けた方の中には、乳腺切除だけを行ったせいで胸が陥没している事例もありました。これは乳腺の周辺にある脂肪を吸引していないことが原因です。アリエル美容クリニック横浜院では、乳腺を切除したうえで脂肪吸引も行ってきれいな胸に仕上げますので安心してください。また保険適用になるかどうかの診察もしていますので、お気軽にお尋ねください。

脂肪吸引をしたら皮膚がたるんでしまわない?

女性化乳房のグレード4(乳房下降線よりも乳輪が下に落ちている場合)では、たるんだ皮膚の切除が必要になるケースもあります。
しかし、多くの方は術後にテープで上にひっぱった状態で圧迫をすることで、皮膚のたるみはほとんど気にならなくなります。たるんでしまうことも前もって把握いただいたうえで手術をご検討ください。

女性化乳房が再発するリスクはありますか?

手術によって原因となる乳腺や脂肪を取ってしまうため、基本的に再発はありません。
ただし、脂肪による偽性女性化乳房の場合は、体重が大幅に増えると再び胸がふくらんでくる可能性もあります。手術を受けた後、またふくらみが気になる場合は再度診断しますのでご安心ください。
まとめ
女性化乳房は、ホルモンバランスの乱れや胸部に脂肪がつくことなどによって起こる症状で、放置するとコンプレックスに発展するケースもあります。
女性化乳房の3つのタイプに応じて脂肪吸引や乳腺除去などの治療法があり、適切に対処すれば改善が見込めます。ダウンタイムは施術の方法によって異なりますが、術後の生活指導を守ることで回復もスムーズになります。まずは信頼できるクリニックで診断を受け、自分に合った治療法を理解しましょう。

アリエル美容クリニック横浜院では、女性化乳房の原因を事前にしっかりと診断したうえで、患者様の胸全体のバランスが良くなる施術にこだわっています。
多くの患者様が「人前で上半身を出しても恥ずかしくない」と喜びの声を聞かせてくださいます。治療することで人生がより楽しめるようになるはずですので、悩んでいる方は相談に来てくださいね。
Faq
よくあるご質問
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Q.
女性化乳房を放っておくと何か問題が起きますか?
- A. 乳腺が大きい、または皮下脂肪が厚い状態を放っておいても特に問題はありません。しかし、乳腺がどんどん大きくなる場合は乳がんの疑いがあります。男性も乳がんになる事例がありますので、女性化乳房の治療はしないけれども気になる場合は、乳腺外来で診察してもらいましょう。
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Q.
女性化乳房はどのような流れで手術を行いますか?
- A. まず静脈麻酔で眠った状態にし、真性の場合は乳腺切除の手術、偽性の場合は脂肪吸引、混合性の場合は脂肪吸引をした後に乳腺切除をします。そして切開した部分を縫合して圧迫を行い、手術は完了です。手術時間は、乳腺切除だけの場合はおよそ1時間です。吸引のみの場合は40分程度、混合性で脂肪吸引と乳腺切除の両方をする場合は、乳腺の大きさにもよりますが2時間ほどとなります。
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Q.
保険適用と美容医療で女性化乳房の治療をするメリット・デメリットは何ですか?
- A. 真性と混合性の乳腺がある女性化乳房の場合、乳腺切除は保険適用になります。保険適用のメリットは「安く済む」という点です。しかし、混合性の方で乳腺だけ取り除くと胸がへこんでしまうケースがあり、これはデメリットと言えるかもしれません。医師によっては保険治療であっても脂肪吸引をして整えてくれる場合もありますが、保険がきくのは乳腺切除のみなので、脂肪吸引には対応しない医師もいます。当院では「乳腺切除だけなら保険適用の方が安くなること」、そして「乳腺を取っただけでは胸がへこむ可能性があること」を患者様にしっかりと伝えて、両方の話を聞いたうえで決めてくださいとお話しています。アリエル美容クリニック横浜院では、患者様の胸をきれいにすること、そして幸せになってもらうことを大切にしていますから、乳腺を取ったうえで脂肪もきれいに取り、見た目も重視した施術を行います。
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Q.
女性化乳房の手術のリスク、副作用はありますか?
- A. 手術では乳輪を切開しますが、このときにあまり薄く切開しすぎると乳輪の血流が悪くなり、一部が壊死してしまう場合があります。つまり、女性化乳房の手術では血流を考えながら切除する繊細な技術が求められるのです。場合によっては少し厚みを残して手術し、壊死を防ぎます。もし経過を見て乳輪周辺の厚みが気になる場合は、時期を見て再手術でその部分を修正できますのでご安心ください。
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Q.
術後にしこりを感じるのですが、問題ないですか?
- A. 術後は組織が硬くなり、一時的に胸全体が硬く感じる場合があります。これが原因のしこりの場合は、マッサージ・ストレッチで治ります。しかし、まれに乳腺の取り残しや圧迫が不十分で体内に液体が溜まっている場合もあります。不安な場合は超音波を使ってしっかりと診察しますので、お気軽にご相談ください。
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Q.
胸周辺の脂肪吸引をした後、その脂肪を大胸筋下に入れ直すことはできますか?
- A. はい、できます。大胸筋の外側の輪郭を出しながら側胸部まで脂肪吸引をすると、かっこいい胸にすることができます。大胸筋のトレーニングをしている方の中には、下の方には筋肉がついたけれども、上はつきづらいというお悩みもあります。女性化乳房の手術で脂肪吸引した後、大胸筋の中や下に脂肪を注入するとさらに形が整います。ただし、大胸筋がない方にこの対応をしても意味がないため、超音波で一人ひとりの筋肉の厚さや体のバランスを見たうえでお勧めしています。